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 ナルトとサクラの愛の話


ナルト受けWebアンソロジー『君のこととなると』投稿作品

 ぱくり、とあんみつを食べる。
 口中に広がる甘味にサクラの頬が緩むのを見ながら、一口。甘さ控えめの小豆にシロップがよく合う。
「あのさ」
「なに?」
「こーゆーとこ見られたら、まーた付き合ってるって言われたりしてな」
 へらり、と笑ってみせると、サクラは白玉を口に放り込みながら「言いたい奴には言わせておきなさい」とのたまった。
「流石サクラちゃん、格好いい」
「褒め言葉と受け取っておくわ」
 ぱくり、ぱくり。向かい合ってあんみつを食べる。近況をぽろぽろ挟みながら、他愛無いお喋り。
 傍から見ればデートなのかもしれないが。
「……だって、ねえ。もう恋とかときめきとかないわよ、ナルト相手に」
「そうそう。どっちかってーと、戦友?」
「せめて同志にしといて」
 弱さもずるさも汚さも知っている。背中を預け、時にもたれかかり、たまに手を繋ぐような関係。
 きっとお互いを選んだならば穏やかに、ただ柔らかな慈しみの中で過ごしてゆけるのだろう。
「でも、あんたの恋人に見られたら厄介よね、確かに。何気に嫉妬深いんだもの」
「サクラちゃんのカレシだってそうだろ」
 だが燃え上がるような恋情も、狂気じみた執着も、灯火のような情愛もそこにはなく。
「てかさ、カカシ先生いまだに格好つけようとするんだってばよ。歳の差あるし、仕方ないんだろうけど」
「同年代だったらなんなの。私のなんて朴念仁でブラコンでKYよ」
「でも」
「うん」
「────好きなんだよね」
 目を見合わせて、噴き出した。
「愛よね」
「愛だよな」
 愛している。そして君も、愛している。恋とは違う形でも、唯一へと向けるものではなくても。
 きっとそれが運命ってやつなのだ。


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